都会へ行けば 何かが変わると思ってた
知らない空気に 胸だけ先に走り出して
背伸びのヒールが アスファルトに食い込んで
それでも光は 嘘みたいに綺麗だった
人混みの隙間で 影がひとつよけていって
落とした書類を 声もなく拾ってくれた
「ありがとう」と言ったら 少しだけ頷いて
その横顔に 知らない自分が映って見えた
こんな場所で朝を迎える日が来るなんて知らなかった
都会の灯りより ずっと暗くて静かな窓で
好きだった私を どこかに置いてきてしまった
あなたが隣にいるから それでもいいと思えてる
朝の空気が 都会よりずっと重くて素朴で
同じ帰り道なのに 街灯が三本しかなくて
コンビニまで 車で十分かかる町で
それでもなぜか 出ていこうとは思えない
言葉の代わりに 少しだけ後ろを歩いて
気配だけで こぼれそうな気持ちを受け止めてくれる
夢の話を 久しぶりにしたら言葉に詰まった
あなたはただ静かに それを見ていてくれた
本当はまだ この町の形が見えなくて
笑ってみても どこかが空洞のままで
逃げ出す前に 眠れた夜が何度あったか
帰りたい駅の名前さえ 声にできなくなって
あなたの影が 境界線になってたんだと思う
馴れない道で 名前を呼ぶ声すら持てなくて
夜が来るたびに 何かがひとつずつ欠けていって
変わったことより 気づかなかった自分が怖い
あなたの静かな体温だけが 今もここにある