
井上有一
strings, flute, inner space, breakcore,
ちょいまって·5:25

5:25
井上有一
strings, flute, inner space, breakcore,
Creator: ちょいまってRelease Date: September 18, 2025
Lyrics
筆を握りしめた男がいた。
彼にとって書は飾りではなく、
呼吸と同じく、生き延びるための声だ。
敗戦の瓦礫の上で、
人間の尊厳が踏みにじられるのを見て、
彼は筆を槍に変えた。
その一線一線は、
理想でも技巧でもなく、
「人間よ」と叫ぶ渇望であった。
巨大な紙に、体ごとぶつける。
文字は美しく並ぶことを拒み、
墨は飛び散り、
叫びは紙を破り、
その裂け目から未来を覗こうとした。
嘆きと怒り、そして墨にまみれた日々。
誰よりも無骨で、誰よりも純粋に、
ただ「生きている」と刻みたかった。
文字は彼自身であり、
心そのものだった。
揮毫は威り、
筆は武器、
墨は血。
貧を守り、毫を揮う。
そうして残された一文字は、
今もなお、
見る者の胸を叩き割り。
そうして残された一文字は、
今もなお、
見る者の胸を叩き割り。
