風の夜に馬を駆り
駆けりゆく者あり
腕に童帯びゆるを
しっかとばかり抱きけり
坊や なぜ顔を隠すか
お父さんそこに見えないの
魔王が居る 怖いよ
坊や それは狭霧じゃ
かわいい坊やおいでよ
面白い遊びをしよう
川岸に花咲き
綺麗なおべべがたんとある
お父さん お父さん 聞こえないの
魔王が何か言うよ
なあに あれは
枯れ葉の騒めきじゃ
坊や一緒においでよ
用意はとうに出来てる
娘と踊って遊ぼうよ
歌っておねんねもさしたげる
いいところじゃよ さあおいで
お父さん お父さん それそこに
魔王の娘が
坊や 坊や ああそれは
枯れた柳の幹じゃ
可愛や いいこじゃのう坊や
じたばたしてもさらってくぞ
お父さん お父さん 魔王が今
坊やを掴んで連れてゆく
父も心 慄きつつ
喘ぐその子を抱きしめ
辛くも宿に着きしが
子は既に息絶えぬ