夜明け前の 静かな空に
眠っていた風が そっと目を開ける
忘れかけた記憶のように
胸の奥で 微かな光が揺れた
雲の海を ひとり漂い
遠い日々の影を 追いかけながら
まだ見ぬ場所へ 導くように
優しい声が どこかで呼んでいる
森を越えて 山を越えて
風は大地の鼓動を聴く
古い祈りが 枝を揺らし
眠れる魂を そっと包み込む
荒れた空も 凍える夜も
風は道を 失わなかった
たとえ迷い 傷ついても
還る場所は ひとつだけ
光の粒が 空に舞い上がり
風の羽根を そっと照らす
その先には 懐かしい影
幼い日の 笑顔のように
そして風は 静かに帰る
長い旅路の果てに
心が還る あの空へ
永遠に続く 風の故郷へ