好き 好き 好き 好き
まだ まだ まだ まだ
「さてさて、困った恋の噺で──」
どうしよう
あと1秒
触れそう
ユラ ユラ ユラ ユラ…
……だめ
やっぱり好き
「惚れた方が負けとは、よく言ったもので」
(No music, complete silence. A low, slow breath in the dark.)
塩素(えんそ)の匂い 誰もいないプール
濡れたコンクリート 素足の冷たさ
波立たない水面(みなも) 深いネイビー
静寂だけが ここに満ちている
「夏というのは、不思議と人を黙らせる」
水面(みなも)に反射する 校舎の窓
非常灯だけが ゆっくり滲む
言葉を失くした 二人の距離は
近づけないまま 並んでいる
プールサイドに 影だけ伸びる
「お互い黙ってるくせに、
心だけは騒がしい」
夏が始まってる
これから
肩を寄せた
タオルの隙間 すり抜ける風
あなたの肩越し 水滴が落ちる
何も聞かずに 口付けたミネラルウォーター
濡れた足音だけ 残っていた
「いやはや、
その一口が恋の始まりで」
いまから
息が触れた
「ずっとこのままで」って言いたい
やっぱり好きだし
このままでいたい
波打つ水際 触れそうな指
引き止める言葉を 飲み込んでゆく
「言えない言葉ほど、
胸の中で大きくなる」
いまだけ
キスをしてた
「──これにて、青春噺を一席。」