アスナロ『An Ordinary Day, Interrupted』

  • fantasy-style electro instrumental
  • BPM 100
  • soft synthetic plucks
  • airy ambient pads
アスナロ『An Ordinary Day, Interrupted』

Lyrics

【シーン#11】

風鳴り亭の朝は、いつもと変わらない穏やかな時間が流れていた。

カノンはカウンターの奥でグラスを拭きながら、静かに店内を見渡す。客足はまだ少なく、店内にはわずかに酒の香りと、木の軋む音が響いている。

この場所に来てまだ日が浅いが、仕事には徐々に慣れてきた。酒場の仕事は単調で、特別な技術が必要なわけではない。ただ、スラムに流れ着いた者たちと直接関わることで、この街の空気をより深く感じることができた。

ここは、力と情報がすべてを支配する街。

カウンターの向こうでは、ミリアがゆったりとした手つきでグラスを磨いていた。

「どう? 少しは慣れた?」

「ええ、なんとか」

「そう、それならよかったわ」

ミリアの言葉は柔らかく、どこか母親のような温かさを持っていた。

カノンは小さく頷きながら、手元のグラスを棚に戻した。

扉が軋む音とともに、店内にシオンが現れた。

彼は黙ったままカウンターの前に腰を下ろし、視線を一度カノンに向ける。

「客?」

カノンが問いかけると、シオンは短く答えた。

「……もうすぐ来る」

その言葉の意味を理解する前に、酒場の扉が再び開かれた。

店の入り口に立っていたのは、一人の女性だった。