
✿「Austere Flower」✿
femele,opera,orchestra,mellow,

✿「Austere Flower」✿
femele,opera,orchestra,mellow,
Lyrics
🌸超短編小説🌸
「お花をどうぞ」
ふいに降ってきた声
でも決して驚かせる事のない、
頬を撫でる風のように。
振り返ると、少年、いや少女?
子猫を思わせる瞳が印象的な顔立ち。
抜けるように白い肌。
そんな一輪の「花」が立っていた。
「今日のあなたにはこのお花を」
その「花」はそう言うと、
肘にかけた籐籠の花束から白い花を一輪抜き取り、
私の胸の前辺りに差し出した。
不意に懐かしい香りが記憶に沁みこむ。
が、香りの名は思い出せない。
けれど1枚の絵のような記憶の断片が
その名のように思えた。
「あの、その名前はなんですか?」
思わず焦点の定まらない問いが口をついて出てしまう。
けれどその「花」には、答え慣れた問いなのだろう。
ほのかな微笑みを浮かべ言った。
「名はオースティア、と言います」
Austere。曖昧な解釈しか記憶になかったが、
今、私の眼前のもの全てがその名で呼べる、
そんな気がした。
ふと緊張の糸がほぐれ、言葉が続いた。
「あの、なぜ私に花を?」
「感謝の気持ちです」
「え?今日初めて会った私に?」
「はい。ありがとうございます」
困惑し沈黙する私の肩を、そっと撫でるような声で続けた。
「あたたがそこにいてくれたから」
差し出された一輪の花に手を伸ばす。
その花を介して私と「花」が触れ合った刹那、
私の頬を涙が伝った。
「花言葉は、永遠の絆。あなたを信じて待つ。そんな言葉です」
そう言うとその「花」はわずかに腰を曲げ、小さく会釈すると、
小さな背を向け立ち去ろうとした。
「あのう!」
わたしは引き止めるように声を投げた。
今の心を見透かされたように感じて、
尋ねずにはいられなかったのだ。
「もし・・・もしも私でなかったら、
その花言葉は変わっていたのですか?」
「花」は振り向かず、けれど諭すような強さで答えてくれた。
「いいえ、そんなことはありませんよ。
だってそのお花は世界にただ一つの、あなただけのお花ですから」
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
✿「Austere Flower」✿
Verse 1
「お花をどうぞ」
声は、天から落ちる羽のように
私の頬をかすめ、静かに留まった
振り向けば、そこに立つ者――
少年とも少女ともつかぬ影
子猫の瞳が、柔らかな色を宿し、
雪のように白い肌が、
花の輪郭をかたどっていた
Pre-Chorus
差し出された白い花は
失われた記憶をそっと押し開け
名を思い出せぬ香りだけが
胸の奥に微熱のように灯った
Chorus
花言葉は「永遠の絆」
「あなたを信じて待つ」
世界が滅びても揺るぎはしない
ただ一輪の✿
Verse 2
「今日のあなたに、このお花を」
その声は遠い約束のように
カゴから抜き取られた白い花が
胸元にふわりと震える
触れた刹那、理由のない涙が頬をつたう
心はまだ追いつかず
ただ、終わりかけの夢に触れたようだった
Verse 3
「なぜ私に?」
問えば、風のように微笑み
「感謝の気持ちです」と返した
今日が始まりであるはずなのに
まるで永い別れの続きのように
歩き出そうとした背に
思わず声を投げた
「もし……私でなかったなら、
その花言葉は変わったのですか?」
Pre-Chorus
白い花よ、私の胸を浸し
忘却から香りを呼び戻す
名前のない儚い記憶が
脈を打つ度に蘇る
Chorus
花言葉は「永遠の絆」
「あなたを信じて待つ」
世界にただひとつだけの
ただ一輪の✿
Bridge
振り返らずに告げられた声は
祈りのように澄んでいた
「いいえ、変わることはありません。
そのお花は――
あなたのためだけに、生まれたのですから」
その言葉が夜の底で灯り
静謐な白が胸に根をおろす
遙かな昔、名を持たぬ思いが
初めて形を得たように
